「豊」の字源 1
Last Updated 2007.12.25.
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「豆」 | 豆は浅い皿の下に足をつけた台で、この形をそのまま文字に写し取ったのが「豆」という漢字である。 この字は後世ではマメという植物の名前に使われるようになったが、それは食物を盛るのに使ったたかつき(こしだかともよばれる一本足のついた器)と、食物のマメとがたまたま同じ発音であらわされることばだったので、たかつきを示す文字を借りて食物のマメを意味する文字として使ったからである。 |
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「豐」 | この豆の上にたわわに実ったキビやアワなど穀物の穂を置いた形を示すのが「豐」である。 「豐」とはまさに豊作を祖先の神々に報告するために、たわわに実った穀物をたかつきに載せている字形であり、そこからこの字は「ものがたくさんある」あるいは「大きい」という意味を持つようになった。 この形をかたどった文字は、やがて「豐」と「豊」というよく似ていながらも微妙に異なったふたつの文字に分化し、「豐」(音読みはホウ)は「ゆたかであことを、「豊」(音読みはレイ)は一晩でできる甘い酒を示す字となった。この酒が振舞われる宴会を「饗醴といい、この宴会の儀式からやがて「禮」(=礼)という字ができた。 「豐」は、今の日本の常用漢字では「豊」と書くように定められているが、 中国では「豐」と「豊」は別々の字とされていた。 |
「曲」 | 木や竹で作られたまげ物の容器の形にかたどる。物を曲げて作った容器の意。 「曲」は上に伸びる二本の直線があり、上に成長する意味を二本の縦棒で示した。これは「上に伸びる複数のもの」具体的には「草木の芽」と思われる。 「曲」=たくさん上に向かって伸びる芽→たくさん上に伸びるもの→まがる 「豊」=「曲」+「豆」 豆の曲がった芽→たくさんの豆の芽→心豊かにするもの→豊か |